はじめに|地球のごみ問題、知っていますか?
みなさんは毎日、どれくらいのごみを出しているか考えたことがありますか?
食べ終わったお菓子の袋、飲み終わったペットボトル、使い古した教科書やノート…。家庭だけでなく、学校や会社、工場など、わたしたちの社会はたくさんのごみを毎日生み出しています。
日本だけで年間に出るごみの量は、なんと約4,000万トン以上。東京スカイツリーの重さが約36,000トンといわれているので、その数百倍以上のごみが毎年捨てられているのです。
このままごみを出し続けると、地球の資源はどんどん減り、環境はどんどん汚れてしまいます。
そこで生まれたのが「サーキュラーエコノミー(循環型経済)」という考え方です。
この記事では、小学生・中学生でもわかるように、サーキュラーエコノミーとは何か、なぜ必要なのか、わたしたちにできることは何かを、わかりやすく丁寧に説明します。
サーキュラーエコノミーってなに?「ぐるぐる経済」のイメージ

まずは「リニア(直線)経済」を知ろう
サーキュラーエコノミーを理解するためには、まず今の社会のしくみ「リニア経済(直線型経済)」を知る必要があります。
リニア経済とは、こんな流れです。
「地球から資源を取る → ものをつくる → 使う → 捨てる」
たとえばペットボトルを例に考えてみましょう。
- 石油(資源)を掘り出す
↓
- ペットボトルをつくる
↓
- 飲み物を入れて売る
↓
- 飲み終わったら捨てる
この「取って、つくって、捨てる」という一方通行の流れが、地球の資源を使い果たし、ごみを増やし続けている原因のひとつです。
サーキュラーエコノミー=「ぐるぐる経済」
これに対してサーキュラーエコノミーは、資源を捨てずにぐるぐる循環させるしくみのことです。
英語で「Circular(サーキュラー)」とは「円・輪(わ)」のこと。「Economy(エコノミー)」は「経済」という意味です。
つまりサーキュラーエコノミーとは、「ものをぐるぐる回す経済のしくみ」のことです。
ペットボトルで例えると、
- 石油から新しいペットボトルをつくる
↓
- 使い終わったら捨てるのではなく回収する
↓
- 回収したペットボトルを新しいものに生まれ変わらせる(リサイクル)
↓
- またペットボトルとして使う、または別の製品になる
このように、ものが「生まれて→使われて→また生まれ変わる」という**輪(わ)**をつくることで、ごみを減らし、資源を大切にするのがサーキュラーエコノミーの大きな目標です。
なぜサーキュラーエコノミーが必要なの?
地球の資源は限りがある
わたしたちが毎日使っているものは、もとをたどればすべて「地球の資源」からできています。
- スマートフォン → レアメタル(希少な金属)
- 洋服 → 綿花や石油からできたポリエステル
- 食べ物 → 土や水や太陽の光
でも、地球にある資源は無限ではありません。このまま使い続ければ、いつか資源は底をついてしまいます。
たとえば、今のペースで石油を使い続けると、あと50年前後でなくなってしまうといわれています。わたしたちが大人になり、子どもが生まれる頃には、石油がなくなっているかもしれないのです。
ごみが地球を汚している
捨てられたごみは、燃やされるかうめられることがほとんどです。
燃やすと二酸化炭素(CO₂)が出て、地球温暖化につながります。うめると土地が汚れ、地下水にも影響が出ることがあります。
特に問題になっているのが「プラスチックごみ」。プラスチックは自然には分解されにくく、海に流れ出た場合、マイクロプラスチックという細かい粒になって魚や鳥、そして最終的には人間の体にも入り込むことがわかっています。
毎年、海に流れるプラスチックごみは約800万トン。このままでは2050年には、海の中の魚よりもプラスチックの量のほうが多くなるという試算もあります。
SDGsとサーキュラーエコノミーのつながり
みなさんは「SDGs(エスディージーズ)」という言葉を聞いたことがありますか?SDGsとは「持続可能な開発目標」のことで、2030年までに世界が達成しようとしている17の目標です。
サーキュラーエコノミーは、このSDGsとも深くつながっています。たとえば、
- 目標12「つくる責任、つかう責任」:ものを大切に使い、ごみを減らす
- 目標13「気候変動に具体的な対策を」:ごみを減らしてCO₂排出を抑える
- 目標14「海の豊かさを守ろう」:プラスチックごみを海に流さない
- 目標15「陸の豊かさも守ろう」:土地や生態系を守る
サーキュラーエコノミーを実現することは、SDGsの目標を達成することにもつながっているのです。
サーキュラーエコノミーの3つの原則
サーキュラーエコノミーには大切な3つの原則があります。
原則①:廃棄物と汚染をなくすように設計する
ものをつくる段階から「後でどうリサイクルできるか」「ごみが出ないようにするにはどうすればいいか」を考えてデザインします。
たとえば、分解しやすい素材を使う、修理しやすいつくりにする、有害な素材を使わない、などが挙げられます。
原則②:製品と素材を使い続ける
使い終わったものを捨てずに、できる限り長く使い続けることが大切です。
修理して使う(リペア)、別の人に譲る(リユース)、素材として再利用する(リサイクル)など、さまざまな方法があります。
原則③:自然のシステムを再生する
農業や食品の分野では、食べ残しや廃棄物を土に戻す(コンポスト)など、自然の循環サイクルを活用することも重要です。生態系を守り、自然の力を借りることがサーキュラーエコノミーの大切な考え方のひとつです。
サーキュラーエコノミーの具体例を見てみよう
①ペットボトルのリサイクル
日本のペットボトルリサイクル率は世界でも高いレベルにあります。回収されたペットボトルは、新しいペットボトルや、フリースの素材、たまごパックなどに生まれ変わります。
これはまさに「ボトル to ボトル(B to B)」リサイクルと呼ばれるサーキュラーエコノミーの代表例です。
②古紙リサイクル
新聞紙、段ボール、コピー用紙などの紙は、集めてリサイクルすることで新しい紙製品として生まれ変わります。紙の原料である木を新しく切らなくていいため、森林保護にも役立ちます。
③食品リサイクル
食べ残しや食材の廃棄物(フードロス)を、肥料や飼料、バイオガスに変えることも食品リサイクルのひとつです。食品ロスを減らし、資源を無駄にしない取り組みです。
④廃食油の発電・燃料化
揚げ物などに使った食用油(廃食油)を、そのまま捨てずにバイオディーゼル燃料や発電に利用することができます。これも立派なサーキュラーエコノミーの取り組みです。
⑤フリマアプリ・リユースショップ
着なくなった服や使わなくなったものを、捨てずに次の人へ渡す。これもサーキュラーエコノミーの大切な部分です。フリマアプリやリサイクルショップは、まさに「ものを長く使い続ける」しくみです。
⑥シェアリングエコノミー
自動車のカーシェアリング、自転車のシェアサイクル、工具のレンタルなど、「みんなで一緒に使う」しくみも、必要以上にものをつくらないサーキュラーエコノミーの一形態です。
日本や世界のサーキュラーエコノミーへの取り組み
日本政府の取り組み
日本では、政府が「循環型社会形成推進基本法」を制定し、ごみを減らし、リサイクルを推進する政策を進めています。また「グリーン社会の実現」に向けた取り組みの中でも、サーキュラーエコノミーへの移行が重要な柱のひとつとされています。
2023年には「サーキュラーエコノミーパッケージ」が日本でも議論され、企業や地域が一体となった取り組みが始まっています。
ヨーロッパ(EU)の最先端の取り組み
サーキュラーエコノミーの取り組みで世界をリードしているのがヨーロッパです。
EUでは「欧州グリーンディール」という政策のもと、2050年までにサーキュラーエコノミーを実現することを目標にしています。
具体的には、
- 製品の修理する権利(修理権)の法制化
- プラスチック製品への課税
- 企業が製品のライフサイクル全体の責任を持つ「拡大生産者責任」
などが進められています。
企業の取り組み
世界の大手企業でも、サーキュラーエコノミーへの移行が加速しています。
- アパレル企業:古着の回収・リサイクルプログラム
- 家電メーカー:製品を売るのではなく「サービスとして貸し出す(Product as a Service)」
- 食品メーカー:包装材をリユース可能なものに切り替える
わたしたちにできること|子どもから始めるサーキュラーエコノミー
①3Rを意識する
サーキュラーエコノミーの基本は「3R」です。
| 3R | 意味 | 例 |
|---|---|---|
| Reduce(リデュース) | ごみを減らす | マイボトルを持ち歩く、食べ残しをしない |
| Reuse(リユース) | 繰り返し使う | フリマアプリで売る・買う、リサイクルショップを使う |
| Recycle(リサイクル) | 素材として再利用 | 分別ごみをきちんと出す |
さらに最近は「5R」や「7R」という考え方も広まっています。
- Refuse(リフューズ):いらないものはもらわない(レジ袋を断る、など)
- Repair(リペア):壊れたら修理して使う
②ごみの分別をきちんとする
ごみをきちんと分別することは、リサイクルの第一歩です。家でも学校でも、ごみの分別を丁寧に行いましょう。
ペットボトルはキャップとラベルを外して、リサイクルボックスへ。紙ごみは資源回収へ。小さな行動が大きな変化を生み出します。
③ものを大切に使う
「すぐ捨てる」のではなく、「なるべく長く使う」ことを心がけましょう。
壊れた文房具は修理できないか考える。服が小さくなったら、弟や妹、あるいはフリマアプリで次の人に渡す。そういった小さな習慣がサーキュラーエコノミーにつながっています。
④フードロスを減らす
食事は残さず食べる。買い物では必要な分だけ買う。冷蔵庫の中のものを確認して、無駄にしない。
世界では毎年約13億トンの食べ物が捨てられています。家庭でできるフードロス対策もサーキュラーエコノミーの大切な一歩です。
⑤地域の資源回収に参加する
学校や地域の古紙回収・資源回収活動に積極的に参加することも、身近なサーキュラーエコノミーへの参加です。
エコスタイルクラブが取り組むサーキュラーエコノミー
わたしたちナガイホールディングスが運営する「エコスタイルクラブ」では、サーキュラーエコノミーの実現に向けたさまざまな取り組みを行っています。
リサイクルステーション「エコスタイル」
ペットボトル・空き缶・古紙・発泡スチロールなど、さまざまな資源を回収するリサイクルステーション「エコスタイル」を運営しています。捨てるだけのごみを「資源」として生まれ変わらせる、まさにサーキュラーエコノミーの現場です。
廃食油発電事業
家庭や飲食店から回収した廃食油を、再生可能エネルギーとして発電に活用しています。捨てられるはずの油がエネルギーに生まれ変わる、サーキュラーエコノミーの好事例です。
プラスチックリサイクル・古紙リサイクル
回収したプラスチックや古紙を適切に処理・リサイクルし、新しい資源として社会に返していく取り組みを進めています。
ごみ拾い活動・SDGs講座
地域のごみ拾い活動や、学校・企業向けのSDGs講座、SDGsカードゲームなど、サーキュラーエコノミーの考え方を楽しく学べる機会を提供しています。
エコスタイルアプリ
スマートフォンのアプリを使って、リサイクルポイントを貯めたり、地域の資源情報を確認したりできる「エコスタイルアプリ」も展開中です。サーキュラーエコノミーへの参加が、もっと身近で楽しくなるしくみを作っています。
サーキュラーエコノミーで未来はどう変わる?
サーキュラーエコノミーが当たり前になった社会では、こんな未来が実現できると考えられています。
✅ ごみが減る
資源が循環するため、最終的に捨てられるごみが大幅に減少します。海や土地の汚染も改善し、生き物たちの環境が守られます。
✅ 資源を大切にできる
限りある地球の資源を無駄にせず、何度でも使い続けることができます。将来の世代にも豊かな地球を残すことができます。
✅ 新しいビジネスが生まれる
リサイクル技術、修理サービス、シェアリングサービスなど、サーキュラーエコノミーを実現するための新しいビジネスが次々と生まれ、経済も活性化します。
✅ 地球温暖化が抑えられる
ごみの焼却や不必要な資源の採掘が減ることで、CO₂の排出量が減り、地球温暖化対策にも大きく貢献します。
まとめ|サーキュラーエコノミーは「みんなで作る未来」
サーキュラーエコノミー(循環型経済)とは、「ものをぐるぐると循環させ、ごみをできるだけなくす経済のしくみ」です。
地球の資源は有限で、ごみ問題や気候変動は今すぐ取り組まなければならない課題です。サーキュラーエコノミーは、わたしたちの未来を守るための大切な考え方であり、政府・企業・そして一人ひとりの行動が必要です。
小学生・中学生のみなさんも、今日からできることがたくさんあります。
- ごみをきちんと分別する
- ものを大切に使う
- フードロスを減らす
- 地域の資源回収に参加する
あなたのひとつひとつの行動が、サーキュラーエコノミーを実現する力になります。
一緒に「ぐるぐる回る未来」をつくっていきましょう!
もっと詳しく知りたい方へ
エコスタイルクラブでは、サーキュラーエコノミーに関するコラムや最新情報を定期的に発信しています。地域の資源回収やリサイクル活動についても詳しい情報を掲載していますので、ぜひチェックしてみてください。

