過ぎゆく2025年は、世界共通の目標であるSDGs(持続可能な開発目標)の達成期限(2030年)が目前に迫る中、企業経営における環境責任がかつてなく問われた一年でした。「2050年カーボンニュートラル」というSDGs目標13(気候変動対策)の究極のゴールに向け、日本の産業界と地域社会は、脱炭素技術への投資(GX)を加速させ、資源循環(サーキュラーエコノミー)の徹底を図るという、大きな変革の波に乗り続けています。
本コラムでは、この一年の主要な環境トピックとSDGsとの繋がりを振り返り、企業の環境マネジメントシステムの国際標準である「ISO14001」がいかに脱炭素時代のコンプライアンスとSDGs推進力を支えているかを分析し、2026年に向けて日本が取り組むべき総合的な環境戦略について考察します。
1. 脱炭素とサーキュラーエコノミー:SDGs達成の二大戦略
2025年の環境変革は、SDGsの複数の目標を同時に推進する戦略として進化しました。
(1) 脱炭素化の進展とSDGs目標13(気候変動)
日本政府が推進するGX(グリーントランスフォーメーション)実行戦略に基づき、脱炭素技術への大規模な投資が具体化しました。再生可能エネルギー(再エネ)の主力電源化は、SDGs目標7(エネルギーをみんなに)と目標13(気候変動)の達成に直結します。
企業は、スコープ3(サプライチェーン全体)における排出量削減のため、自社使用電力の再エネ化(RE100対応)を加速。これは、サプライヤー選定においても環境基準を重視する流れを生み、SDGsを経営戦略の核に据える必要性を高めています。
(2) 資源循環(サーキュラーエコノミー)の深化とSDGs目標12(つくる責任)
脱炭素と並行して、SDGs目標12「つくる責任 つかう責任」を具体化するのがサーキュラーエコノミーです。製品の製造から廃棄・リサイクルに至る全過程の環境負荷を評価するLCA(ライフサイクルアセスメント)の考え方が浸透し、廃棄物を極限まで減らし、「ごみ」を「資源」として捉えることが、企業の当然の責任となりました。
プラスチックのケミカルリサイクル推進や、プロダクト・アズ・ア・サービス(PaaS)といったビジネスモデルの転換は、廃棄物処理と資源利用におけるSDGsへの貢献度を劇的に高める挑戦です。
2. ISO14001:SDGs推進を担保する環境マネジメントの基盤
SDGsという広範な目標に対応し、コンプライアンスを確実に順守するためには、国際標準である「ISO14001」(環境マネジメントシステム)が不可欠なツールとなっています。
(1) ISO14001と廃掃法コンプライアンスの融合
ISO14001の「順守義務」の要求事項は、SDGsの基盤となる「法の支配」の徹底を促します。廃掃法に基づく産業廃棄物の排出事業者責任や、両罰規定のリスク回避において、ISO14001は環境マネジメントの重要なプロセスとして機能します。
マニフェスト管理や委託先の許可証確認をISO14001の枠組みで行うことで、廃棄物処理における不法投棄や不適正処理といったコンプライアンス違反のリスクを組織的に低減させ、SDGsの基盤を強化します。
(2) ISO14001によるSDGs目標設定と継続的改善
ISO14001のPDCAサイクルは、脱炭素目標(CO2排出量削減)や資源循環目標(リサイクル率向上)といったSDGs関連目標を、環境目的として組織に組み込むのに最適です。目標の達成度を測定し、経営層によるレビューを行うことで、SDGsへの挑戦を持続的に、かつ組織全体で推進できます。これは、企業のSDGs活動の透明性と信頼性を高め、ESG投資を呼び込む上でも強力な証明となります。
3. 2026年へ向けた日本の総合的なSDGs戦略
2025年までの変革を踏まえ、2026年は、日本全体でSDGsの達成速度を上げるための総合的な戦略が試される年となります。
(1) 地域と一体化したSDGs推進(目標11, 17)
地域社会においては、ゴミ拾いや環境ボランティア(SDGs目標11:住み続けられるまちづくり)の活動を通じて環境意識の向上を図ることが重要です。自治体、環境事業者、住民が連携する「パートナーシップ」(SDGs目標17)により、粗大ごみやプラスチックの資源化を促進し、廃棄物を資源に変えるためのインフラ整備が鍵となります。
(2) デジタル技術によるSDGsデータ管理の強化(目標9)
2026年以降、脱炭素やサーキュラーエコノミーの進捗を正確に把握するため、環境データ管理のデジタル化がさらに進みます(SDGs目標9:産業と技術革新)。産業廃棄物の電子マニフェストの普及や、LCAデータの共有は、SDGsへの貢献度を客観的に評価し、ISO 14001の管理効率を飛躍的に高めます。
(3) エシカル消費を通じた需要の創出(目標1, 8)
消費者の行動もSDGs達成を加速させます。フェアトレード(SDGs目標1:貧困、目標8:働きがい)や認証マークを意識したエシカル消費は、サステナブルな製品への需要を創出し、企業に環境・社会配慮型の商品開発を促します。2026年は、環境に優しい買い物が、SDGs達成のための「当たり前の行動」として社会に浸透していくことが期待されます。
4. 年末の締めくくりに:SDGs達成への誓いを新たに
過ぎゆく2025年、私たちはSDGsを羅針盤に、脱炭素、サーキュラーエコノミー、そしてISO 14001という三位一体の挑戦を通じて、持続可能な社会の実現へ向かう確かな一歩を踏み出しました。
日本の企業と地域社会が、この環境変革の波を乗りこなし、2026年をよりクリーンでサステナブルな一年にするためには、年末の締めくくりにSDGs達成に向けた取り組みをレビューし、環境マネジメントの体制を強化することが重要です。
未来を築く挑戦は続きます。企業も個人も、ISO 14001の精神である「継続的な改善」を胸に、環境と経済、そして社会が調和した豊かな2026年を目指して進んでいきましょう。

