2026.01.06

コンプライアンスの危機管理!廃棄物処理法の最新改正動向と排出事業者が注意すべき重大リスク

2026年の廃棄物に関する法律を見据えたコラム

2025年以降、廃棄物処理法(廃掃法)は、廃棄物管理における透明性と安全性を高めるため、極めて重要な改正を続けています。この改正は、不法投棄対策という従来の側面だけでなく、産業廃棄物に含有される化学物質の安全管理や、処理プロセスの可視化を排出事業者の責任として強く求めています。

もはや廃棄物管理は、コンプライアンス部門だけでなく、製造、購買、安全管理の各部門が連携して取り組むべき、経営上の最重要課題です。特に廃掃法は罰則や両罰規定が厳格であるため、「知らなかった」では済まされず、一担当者のミスが企業全体の重大リスクとなり得ます。

本コラムでは、廃掃法改正の核心を捉え、排出事業者が2026年に向けて特に注意すべきリスクと、直ちに対応すべき実務上の対策を具体的に解説します。

 


1. 最重要改正点(1):電子マニフェストを通じた処理プロセスの可視化(2027年4月施行予定)

この改正は、産業廃棄物の処理プロセス全体をデジタルで追跡し、最終処分までの情報を定量化することで、排出事業者責任の貫徹を図るものです。紙マニフェストは対象外ですが、電子マニフェストを利用する排出事業者にとっては管理の透明性が飛躍的に向上します。

 

(1) 処分業者に課される報告義務情報詳細化

改正により、産業廃棄物の処分業者は、電子マニフェストによる最終処分の報告にあわせ、以下の定量的な情報を情報処理センター(JWNET)に報告することが義務付けられます。

1.処分方法ごとの処分量

2.処分後の産業廃棄物または再生される物の種類および量

これにより、排出事業者は、委託した廃棄物が中間処理を経て、最終処分に至るまでの全フロー(どの処分方法でどれくらいの量が処理され、どれだけ再生されたか)を電子マニフェスト上で照会できるようになります。

 

(2) 排出事業者注意すべき実務上のリスク

処分業者に報告の義務が課せられますが、この情報は排出事業者の管理責任に直結します。

委託先選定の基準の変化:今後は、「適法性」だけでなく、処理業者の処分方法や再生利用実績を定量的に評価することが、排出事業者の管理責任に強く組み込まれます。処理業者の透明性が低い場合、委託を避けるべきリスクとなります。

契約の見直しと情報の利用:排出事業者は、委託契約において処分方法や情報公開について処理業者と取り決めることが求められる可能性があります。この情報を自社の環境管理や内部監査に活用する体制を構築しなければなりません。

 


2. 最重要改正点(2):化学物質含有情報伝達義務強化契約書への明記

この改正は、廃棄物処理の安全を担保し、処理業者の健康を守る上で最も重要な法改正であり、排出事業者の情報管理体制が厳しく問われます(令和8年1月1日施行予定)。

 

(3) PRTR法の指定化学物質対象

廃棄物処理に必要な情報伝達として、特にPRTR法で規定される第一種指定化学物質が1%以上含有する産業廃棄物の処理を委託する場合に、その情報を伝達することが義務化されます。

・目的:化学物質が含有する廃棄物を処理する際、作業員の健康被害や環境中への流出、火災・爆発などの事故を未然に防ぐためです。

 

(4) 排出事業者注意すべき実務上のリスク

この改正は、廃棄物を排出するすべての工場・事業場における化学物質の管理運用に影響を与えます。

・委託契約書への記載事項追加:産業廃棄物委託契約書の法定記載事項に、第一種指定化学物質が含有する場合に、その情報を伝達する旨の条項を記載することが義務となります。既存の契約についても見直しが必要です。

・PRTR情報との連携:排出事業者は、日頃からPRTRの届出対象となっている化学物質の情報を、廃棄物との関係で正確に管理し、処理業者へ漏れなく、かつ正確に伝達する体制を確立しなければなりません。

・WDS(廃棄物情報データシート)の重要性:環境省が推奨するWDSを活用することが最も合理的な方法となります。WDSは、含有する化学物質の種類や濃度、性状を処理業者に正確に伝達するための重要なツールです。

・罰則リスクの増大:情報伝達の不備が不適正処理や事故につながった場合、排出事業者の責任が厳しく問われ、両罰規定による罰金や措置命令の対象となるリスクが大幅に増大します。

 


3. 廃掃法厳罰化するその他の注意点

直近の法改正や法解釈の強化により、排出事業者の負担と責任は以下の点でも増しています。

 

(5) リチウム蓄電池など危険物処理分別

近年多発しているリチウムイオン電池の火災事故は、廃棄物処理の安全上の重大な脅威です。廃掃法に基づく安全な処理ルート確保のため、自治体や処理業者による分別・収集の特別ルールが厳格化しています。

・注意点:排出事業者は、リチウム蓄電池を含む廃棄物の分別、保管、運搬について、処理業者の指定する特別なルールを厳格に順守し、マニフェストにも正確な情報を記載する義務があります。

 

(6) 最終責任両罰規定回避

廃掃法改正の根底にあるのは、排出事業者の最終責任の貫徹です。

・措置命令のリスク:委託先が不法投棄を行った場合、排出事業者が全額費用を負担して撤去・処分を命じられる措置命令のリスクは変わりません。委託先の優良認定状況や情報公開状況を定期的に監査することが必須です。

・両罰規定の再認識:情報伝達義務違反やマニフェストの記載ミスなど、従業員による不正や過失に対しても、企業(法人)に最大3億円の罰金が科される両罰規定の適用リスクを常に意識しなければなりません。

 


4. まとめ:2026年に向けた排出事業者デジタルコンプライアンス

廃棄物処理法の改正は、排出事業者に対し、「情報の透明性」「化学物質の安全管理」「処理プロセスの可視化」を求めており、これらは紙や手作業による管理では限界があります。

2026年に向けて企業がコンプライアンスを確実に維持し、罰則リスクを回避するためには、以下のデジタル体制強化が不可欠です。

1.化学物質含有情報とWDSのデジタル管理を確立し、委託契約と連動させるシステムの導入。

2.電子マニフェストの情報を最大限活用し、廃棄物の処理実績をリアルタイムで定量的に把握する仕組みの構築。

3.委託先の許可情報や優良認定情報をシステムで一元管理し、契約の有効期限を自動でチェックする体制の整備。

複雑な情報管理とコンプライアンスチェックをヒューマンエラーなく行うためには、廃棄物管理のデジタル化が、廃掃法改正時代を乗り切るための唯一のソリューションとなります。

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