2025.12.02

環境にやさしい買い物とは?「エシカル消費」を始めるためのチェックリスト

環境にやさしい買い物とは?「エシカル消費」を始めるためのチェックリスト

私たちがお財布からお金を出して何かを買うとき、それはただ商品を手に取っているだけではありません。その一つ一つの行動が、遠い国の人々の暮らしや、地球の未来に大きな影響を与えているのです。

スーパーやお店で「この商品にしようかな?」と選ぶその瞬間、あなたは地球の未来を決める「賢い消費者」になれるのです。

このコラムでは、地球や人に優しい「エシカル消費(サステナブルな消費)」の基本を、誰にでもわかりやすく、具体的なチェックリストとともにお話しします。

 

1. 「エシカル消費」って、どういうこと?

「エシカル(Ethical)」とは、「倫理的な」という意味です。つまり、「エシカル消費」とは、商品を選ぶときに、「安いかどうか」「便利かどうか」だけでなく、「人や地球に優しい方法で作られたかどうか」を考えて選ぶ行動のことです。

もし、価格が極端に安い商品があったとして、

「この商品を作るために、労働環境の悪い場所で働いている人がいないかな?」

「この商品の材料を作るために、貴重な森が壊されていないかな?」

と想像することが、エシカル消費のスタート地点です。

エシカルな買い物を増やすことで、私たちは地球温暖化や貧困といったSDGs(持続可能な開発目標)の達成を、日々の買い物を通じて後押しすることができます。

 

2. 環境に優しいサステナブルな商品の選び方:3つの視点

環境に優しい、サステナブルな商品を選ぶための、3つの重要な視点を見ていきましょう。

 

(1) 環境に配慮した「素材」をチェックする

商品が何からできているかを知ることは、とても大切です。

  • プラスチック問題への意識:
    • 商品を選ぶとき、過剰なプラスチック包装がされていないものを選びましょう。
    • 容器を選ぶなら、「バイオマスプラスチック」(植物由来の原料を使った環境に優しいプラスチック)や、「再生プラスチック」(使われたプラスチックをリサイクルしたもの)を使った商品を探してみてください。これにより、石油資源の消費を抑えられます。
  • 天然素材の選び方:
    • 服やタオルなどのコットン製品を買うときは、「オーガニックコットン」の認証マークを探してみてください。これは、農薬や化学肥料をほとんど使わずに育てられた綿です。農薬は、土壌や水質、生態系に悪影響を与えるため、オーガニック製品の選択は地球を守ることにつながります。

 

(2) 「作られ方」や「運ばれ方」をチェックする(LCAの視点)

商品がお店に並ぶまでには、「原料を採る→製造する→運ぶ→売る→廃棄物となる」という長い道のりがあります。このすべての過程の環境負荷を評価するのが「LCA(ライフサイクルアセスメント)」という考え方です。

  • 「地産地消」のメリット:
    • 近くの畑や工場で作られた食べ物や商品を「地産地消」といいます。遠い国から船や飛行機で運ぶよりも、近隣から運ぶ方が、輸送にかかるエネルギー(ガソリンなど)を節約できます。エネルギー消費が減れば、地球温暖化の原因となるCO2(二酸化炭素)の排出量も削減できます。
  • フェアトレードマークの重要性:
    • コーヒーやチョコレート、カカオなどの原材料に、「フェアトレード」のマークがついていることがあります。これは、途上国(主に開発途上国)の生産者に対し、適正な価格で継続的に取引が行われているという証拠です。このマークがついた商品を買うことは、環境に優しい生産方法を応援するだけでなく、世界の貧困問題を解決する大きな一歩にもなります。

 

(3) リサイクルしやすいかどうかをチェックする

商品を使った後、リサイクルしやすいかどうか、廃棄物になりにくいかどうかも、エシカル消費の重要なポイントです。

  • シンプルな包装:
    • 過剰で複雑な包装がされていない商品を選びましょう。包装がシンプルであればあるほど、廃棄物の量が減り、分別やリサイクルのプロセスが簡単になります。
    • 「長く使う」という究極のリサイクル、安価で流行がすぐ過ぎ去るものではなく、耐久性があり、修理に出せば長く使える商品を選ぶことも大切です。モノを大切に長く使い続けることで、「ごみ」になるスピードを遅らせ、資源の消費を根本から減らすことができます。これがサーキュラーエコノミー(循環経済)の基本です。

 

3. エシカル消費を助けてくれる「マーク」と「ラベル」

エシカル消費を実践する上で、すべての商品の背景を調べるのは困難です。そこで、商品に付いている「認証マーク」や「ラベル」が、企業の取り組みを証明する助けとなります。

初めての方にも分かりやすい主要な認証マークの意味を確認しましょう。

 

マークの例 意味と背景にある考え方 サステナブルな選択のポイント
フェアトレードマーク 開発途上国の生産者に公正な価格を保証し、自立を支援している。 「社会貢献」。この選択で貧困をなくす手助けになる。
エコマーク リサイクルや省エネなど、環境に優しい基準をクリアした商品。 「地球思い」。この商品を選ぶと環境負荷が低減する。
MSC/ASCマーク 海の資源と生態系を守って獲られた、あるいは養殖された魚介類。 「海の持続性」。未来も豊かな海の恵みを享受できる。
有機JASマーク 農薬や化学肥料を使わずに、有機的な方法で栽培された農産物。 「土壌の健康」。土や水質を守る農業を応援する。
FSC認証マーク 適切に管理された森林から採れた木材や紙を使用している。 「森の保全」。無駄な森林伐採を防ぎ、生態系を守る。

 

4. 今日からできる!エシカル消費チェックリスト

さあ、今日からあなたが実践できるエシカル消費の具体的なアクションリストです。いくつ実践できるか確認してみましょう。

 

アクションリスト チェック
長く使う習慣 壊れたものや古くなったものをすぐに捨てず、修理やリメイクで再利用することを考えた。
ごみ削減 買い物に行くとき、マイバッグやマイボトルを持参し、使い捨てプラスチックを断った。
エネルギー・水 節電や節水を意識し、環境に優しい行動を実践した。
地元応援 産地が近く、新鮮で、輸送コストの低い「地産地消」の商品を選んだ。
マークの活用 商品を選ぶ際に、フェアトレードやエコマークなどの認証マークを確認する習慣をつけた。
食品ロス防止 食べ物を必要な分だけ買い、賞味期限切れで廃棄物にしないよう管理し、残さずに食べた。
人に優しい選択 フェアトレードの商品を選び、世界の生産者を応援した。
賢い情報収集 企業がどのように環境に優しい取り組みをしているかを調べた。

 

5. まとめ:賢い選択が作る未来

エシカル消費は、特別で難しいことではありません。「この商品が環境に優しいかな?」「誰かを困らせていないかな?」と、買う前に少しだけ立ち止まって考える習慣です。

SDGsや脱炭素社会の実現は、国や企業だけの責任ではなく、私たち一人ひとりの日々の選択の積み重ねにかかっています。今日からエシカル消費チェックリストを活用して、資源を大切にし、より良い未来を作るための賢い選択をしていきましょう。

BACK

RANKING

人気の記事

VIEW ALL

エコスタイル・アプリ エコスタイル・アプリ